呼吸する壁づくり

呼吸するってなんだろう?

大切にしたかったのは「空気の質」でした

風の森建築では呼吸する家づくりを行っています。
家が呼吸する。それは健康を保つために家の中の空気と外の空気が普通に行き来できる家。でも冬暖かく、夏涼しい暮らしやすい家。
そのために必要なつくりを日々探求してきた私たちが、 最も大切にしてきたものが「壁」でした。
家の中をぐるりと取り巻く壁。
ご自宅の家の壁が、漆喰である、壁紙である、無垢の板材である。
ということは皆さん知っていらっしゃると思います。
ですが、壁の中はどんな作りになっているのだろう?と考えてみたことはありますか?
実は壁の中は、作り手によってそれぞれです。
風の森建築では暖かいだけでなく、家の中の「空気の質」を大切に思い、壁を作っています。
そもそもの話になりますが、空気の動きには特徴があるのです。
気圧の変化や温度の変化によって空気が風となって移動することはご存じの方が多いと思いますが、気体濃度が高い場合に、同じ濃度になるまで気体分子が移動する働きがあることは、「そんなこと習ったっけ??」という方も多いのではないでしょうか。
呼吸している家
室内の家具や建材に含まれるホルムアルデヒドなどの化学物質。
人から発せられた二酸化炭素。
室内で発生する気体には様々なものがあります。
それらの気体は、透湿する壁*の場合、自然に外の新鮮な空気と混じりあい、室内での濃度が下がっていきます。透湿しない壁の場合は、換気口を通じて空気を入れ替えることになります。
では、風の森建築の家の中の空気はどうなっているのでしょうか…
*透湿する壁とは水蒸気の粒子や気体分子が壁を通り抜けることを言います。

呼吸する家の5つのポイント

呼吸しているだから。

風の森のこだわりポイント5点を徹底解説!

八ヶ岳の家づくり

①防水層

①防水層=登山用雨ガッパのように透湿性のあるシート「透湿防水シート」を外壁材の内側に透湿防水シートを採用

この透湿防水シートには目に見えない微小な穴が空いています。
この微小な穴よりも、さらに小さい粒子である室内で発生した水蒸気やガスはこのシートを通過します。
しかし外からの雨水は粒子が大きいので、中に入ることができません。
またこのシートで建物を隙間なくしっかり包むことで、空気は通すけれども、空気の塊である風としては中へ入ることができません。ここでしっかり隙間風を防いでいます。
断熱材の継ぎ目を風が通り抜けたり、断熱材の中で風が動くと断熱性能は低下します。
断熱層の外側を透湿防水シートで遮断し空気は通しますが一切の風を入れないことで、断熱性能を保っています。

②耐力壁

②耐力壁=構造用合板ではなく、
あえて昔ながらの筋交を採用

台風や地震によって起こる横からの力に対して、抵抗できる壁のことです。
近年、一般的には構造用合板で耐力壁を作っています。
湿度が高い日本において、接着剤で固められた構造用合板の耐用年数に疑問があるため風の森建築では筋交を採用しています。
また構造用合板や屋根下地に合板を採用する場合、壁体内の結露を防止するために全面にビニール性の気密シートを張り、室内の湿気を通さない造りにしています。つまり家丸ごとビニールシートに包まれている状態になります。それを風の森建築では筋交で耐力を取るので壁の全面を部材で覆う必要がなく透湿を妨げない造りができます。

③断熱層

③断熱層=フリースと同じポリエステル素材で水を吸収しにくい断熱材を選んでます

最近の高断熱、高気密住宅の主流は外張り断熱工法または吹付ウレタンやグラスウール、セルロースファイバーを使った充填工法です。吹付のウレタンや外張り工法で使うボード断熱材の多くは透湿しない素材です。グラスウールやセルロースファイバーは素材自体が湿気を溜め込んでしまうため、気密シートを張り壁の中に湿気が入らないように施工します。そのため、ほとんどの住宅は断熱層で通気が止まってしまいます。

一方、風の森建築の仕様では、常に壁から通気しています。通気はしていますが冷気が直接室内に入ってくるわけではありません。冷たい空気の塊=風は透湿防水シートを通過する際に微小な穴をくぐることができません。穴をくぐれるほどの小さな気体となって、断熱材の固まった繊維の中をゆっくりと通過します。通過する内に気体の温度は徐々に調整され、室内の温度に近づいた状態で室内へと入ってくるのです。
室内の湿気やガスを自然と外へ出すには気密シートを必要としない、断熱材自身が水分を吸収しにくい素材でなければなりません。
これを叶えてくれるのがフリースや布団に使われているポリエステル素材の断熱材です。この繊維は水を含みにくく、中からの湿気をそのまま外に出してくれ、壁体内の結露を防ぎます。また、時間が経っても劣化せず自立したまま壁の中に収まっています。
しかも扱いやすいので、隙間なども埋めやすく施工性が高く、吸音性もあり、何より安心して使える断熱材です。

④通気層=屋根にも壁にも

④通気層=屋根にも壁にも
空気の通り道を

外壁材の下地にもなるこの部分は下地以外の大きな役割があります。
それは中の湿度を透湿防水シートを通して外に排出しやすいように壁の内側に空間を確保しています。
その空間は夏にはこもってしまう熱も通気層を伝って下から上へ、そして外へと排出される仕組みになっています。
通気層は壁だけではなく屋根にも設けられています。

自然素材

⑤自然素材=自然に調整する
性能を全面に

風の森建築では柱は檜、横架材は杉、丸太は赤松や栗と国産の材料を使ってます。
直接触れる床、壁、天井には板・漆喰・和紙ともちろん自然素材ですが、構造材から見えないあらゆる下地材、建具や家具まで一切の合板・集成材・積層材を使わずに全て国産の無垢材を使っています。
家丸ごとが自然素材が持っている本来の自然に調湿する性能で包まれています。

ほら、空気やわらかい

高気密・高断熱化に伴い、カビや化学物質による室内環境の汚染が問題になり、国は建材の規制や24時間換気を義務付けました。
風の森建築ではもちろん換気設備は設けていますが、そもそも自然素材で家を作っているので、新建材のような化学物質の発生がありませんし、自然素材自体に調湿や消臭、分解作用があります。それに加え、透湿する壁構造によって室内で発生するガスやにおいは自然と外へ、外の新鮮な空気が室内へ緩やかに移動しています。

『木』が持っているありのままの調湿機能を邪魔したくない。
そして換気に頼らずとも常にいい空気の中で暮らせる、居心地よく、当たり前に健康的な家。
そんな家を風の森建築はつくっています。

呼吸する壁づくり

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