土地を購入し、伐採してみないと、実際の景色も日当たりも分からない。夢だった、山々が連なる風景が見えるはずだと思うものの、切った後を想像し、想像を信じて、決めるしかない。けれどあくまで想像でしかないから自信を持ちづらい。とにかく敷地に通う日々が続いた。立ってみて、同じ方角を見て想像し、大丈夫だよね、と確認し合い、夫婦で相談する日々。
この敷地に通い出したのは、ずっと素通りしていた土地を検討し直すことになった頃から。1年間売れていない土地だったから交渉の可能性が有ると友人から伝え聞き、この金額なら予算内ではないかと考え始めた。当初は周囲を住宅に囲まれるこの敷地は、自分たちの探していた場所ではないだろうと候補から外していた。でも、土地探しが長期化し、決まりかけては話が流れてしまうことを繰り返す経験を経て、自分が望んでいることは、「森暮らし」ではないのではないか?と疑問に思い始めていた。
そもそも夫が最初に提案して始まった長野県への移住。私自身は家を建てることへの具体的なイメージが乏しく、ただただ、この地に降り立った時の体が緩むような感覚、どの土地へ足を運んでも見たことのない新鮮な景色が広がるこの地に魅力を感じ続けていた。とはいえ難航する土地探しの日々の中、自分が本当に望んでいるのは、自然の中だけれど、同時に地域や集落に溶け込んで子供を育てることなのではないか?と考えが変わっていったのだった。
何より、候補地のある集落には、頼れるリーダーYさんの存在があったことが大きい。集落と移住者を繋いでくださる方の存在なしには、移住は難しいというのが私たちの実感。別荘地を選ぶのか、集落に入っていくことを選ぶのか、悩んでいたが、今回私たちは、Yさんに土地を繋いで頂くことになり、お電話でお話しした。最終の金額に加えて、上下水道引き込み必要。など、その土地の状況を丁寧に教えてくださる。移住先での土地購入は、インフラ整備がどこまでできているかで金額が変わってくるということも、こちらで土地を探しながら知っていったこと。インフラが整っていればもちろんその分土地代に加算される。
逡巡したが、この土地に立った時の体の心地良さ、想像の中での見晴らしの良さ、集落の手入れが行き届いた畦道の美しさなどに徐々に気持ちが惹かれ、最終的にここにしよう。と決め、風の森さんに報告する。長い期間相談しお世話になっていたので、皆が拍手で喜んでくれたと聞いたのは後日談。
その後も風の森さんでで打ち合わせを重ねる。夫が試行錯誤して間取りを考え相談に行くのだが何度もやり直しになる。以前と違い、全て材料費が値上げで、セルフビルドであっても建築費2000万円以下では難しいと知る。概算の予算を出してもらい、何度も考え直し頭を悩ませている夫の姿をよく覚えている。家族4人の暮らしなので、せめて15坪(3間✖️5間)の二階建てにしたかったのだが、最終的に12坪(3間✖️4間)の二階建てに決まった。
300坪の敷地に、12坪の家。贅沢のような、小さすぎるような。でもその配分が、私たちの望んだこと。夫婦の思いは一致していた。憧れの広々とした庭のために家を作りたい。その思いは、なぜなのか一度もブレたことがなかった。

日照率も高く、空も近い。不安の多い時期、いい気分をいつも思い出させてくれた。
