在来工法+国産無垢材✕セルフビルド
INTERVIEW01
セルフビルド体験談
地域:山梨県北杜市大泉 標高1200m 寒冷地
床面積:1階49.58㎡(15坪) 2階49.58㎡(15坪) 合計99.16㎡(30坪)
竣工後ロフト19.8㎡(6坪)増築
施工当時の家族構成:ご夫婦(30代)お子さん(0歳)
セルフビルド工事内容: 外壁張り、床張り、壁断熱、壁ボード張り、漆喰左官工事、洗面台や台所の設置、その他ロフト増築など
施工頻度:平均3日/週
セルフビルド開始から入居までの期間: 11ヶ月
入居時の状況: ほぼ完成の状態 入居後も壁を増やすなどのセルフビルド進行中 
現在は主に庭にアトリエを建築中
主な工程スケジュール
2018年11月上旬〜 基礎工事
2018年12月18日〜 建前
2019年1月21日〜 セルフビルド開始 (断熱材工事から)
2019年8月下旬 施工ボード張り終わり 家屋調査&登記
2019年12月8日 作業完了
2019年12月16日 引越し
金工作家の三木さんご夫妻は、よりよい子育ての環境を求めて引っ越しを決意。自然豊かな北杜市大泉に自宅をセルフビルドしました。引っ越し後も住みながら自宅の家づくりを続けてきた三木家に、最近新たな動きが。庭の一隅に、お二人のアトリエをつくり始めたのです。金工作家のご夫婦がなぜ木工を? そのきっかけも、セルフビルドの家づくりにありました。
「白い漆喰壁」と「茶色の外壁」
こんにちは。素敵なお家ですね。日当たりがよくて、広々していて。
伴子さん ここは本当に日当たりはすごくいいですね。でも家はそんなに広くはないんですよ。1階15坪、2階15坪です。
もっと、ずっと広く見えます!
崇行さん広く見えるとしたら、壁が白い漆喰だからじゃないですかね。あと、家自体がすごくシンプルな間取りで、壁際とかに家具もあまりないから。本当は壁に沿ってベンチや棚をつけたり、キッチンの前にカウンターをつけたりしたいんですが、まだ手がついてなくて(笑)
白い漆喰がすごく綺麗です。こんなになめらかに塗れるものなんですね。
伴子さん壁の漆喰は夫が塗りました。同じ壁面は一度で全部塗り終えないとダメみたいで、何時間も続けて塗っていました。塗り方も、”素人が精一杯頑張ったイメージ”でやりたいんだ、と(笑)。色も、すごくこだわってたよね。私は「部分的に色のある壁とかも、かっこいいんじゃない?」なんて言ってたんですが、夫は「そういうのは飽きるから、絶対白がいい!」って。
崇行さんでもよかったでしょ、白で。漆喰を塗るときは、途中で塗りやめちゃうと仕上がりが変わっちゃうから、広い壁だと午後の1時から始めて、そのまま徹夜して終わったのが朝の4時とか(笑)。使ったのは土佐漆喰です。藁みたいなのが入ってるから本当にやりにくかったんですけど、練り済みの漆喰とはコスパが全然違うから、練るところからやりました。 木部との境は全部最初にマスキングテープを貼ってね。漆喰の厚さ分、2〜3ミリ、マスキングテープを浮かすんです。で、漆喰を塗ったら乾かないうちにすぐに剥がす!
階段の高いところまできっちり塗られていて、すごいです……。
崇行さんわかります(笑)? 階段は大変でした。階段の壁って、吹き抜けの部分が高いじゃないですか。でも下に段差があってそのままじゃ脚立が置けないから、まず段差分の高さの台をつくって、その上に脚立を置いて上まで塗りました。
床板も無垢材で、お家の雰囲気に合ってますね。歩くとあったかいというか柔らかいというか。
伴子さん床板も彼が張ったんですが、おかしかったのは住み始めて最初の頃、床に傷がつくと、何かすごい怒ってて(笑)。娘が床にフォーク投げちゃったりして傷つけるから。1歳くらいだから、しょうがないじゃないですか。でも「あー! 凹んでるー!」って(笑)
崇行さん最初はね、やっぱり(笑)。最近、完成した当時の床の写真を見たら、すごい綺麗だなあと思いました。でももう傷だらけ。
味です。家族の思い出(笑)。とてもよい雰囲気です
外壁の鎧張りも素敵ですね。深いこげ茶で、とってもいい色。
崇行さんセルフビルドする前に見学にいった家がまさに同じ鎧張りで、「手間はかかるけど金額的にも安いよ」って教えてくれたのでこれにしました。外壁は、最初はふたりで交替でやってたんです。窓まわりの外壁材を欠くのに「君がやったところ隙間が大きいよー」なんてお互いに言い合いながら(笑)。でも子どもの面倒を見ながらだったから、下半分くらい張った後は、ほぼ僕ひとりでやりました。外壁材の高さを揃えるのが難しいから、太い針金でフックみたいな治具をつくって、ひっかけて幅を揃えて。でも疲れてくると隙間が大きくなっちゃったり(笑)
仕事と趣味とー空間をフル活用したアトリエスペース
このお家は空間をフル活用していて、いいですね。屋根の下も全部ロフトになっていて。
崇行さん活用するしかないですよね。こういう仕事をしているので、材料だけでもかなりあるし、どうしても手狭になってしまいます。いくらでもスペースがほしいですね。庭にアトリエができれば、そっちに物を移動できるし、夜に娘が寝ているときも音を気にせず作業できるので、使いやすくなるかなと。
崇行さん2階は、仕切りの壁もドアもまだ仮のものなので、娘の成長に合わせて、いずれ部屋を分けようかなと思っています。そこもセルフビルドのいいところですね。
「さすがプロだね!」材料に無駄がなく、手間のかからない設計
間取りはどなたが考えられたんですか?
崇行さん風の森の小池さんです。最初に「玄関の位置はこんな感じで」とか、なんとなくの自分たちの希望を伝えて、iPadの無料の間取りアプリを使って小池さんにイメージを送りました。そしたらちゃんとした設計図ができてきて、見てすぐに「いいっすね!」」と。
伴子さん「さすがプロだね!」って(笑)。普通だったら、どんな設計でも実際に住んでみると「ここはこうすればよかったかな」という部分が少しは出てくると思うんですが、それがないんです。「さすがだなー」って思って。
崇行さんあと思ったのが、僕たちがつくりやすいように、やりやすい間取りや寸法を考えてくれていたんだってことです。
伴子さんそうそう。自分たちで実際につくってみると、小池さんの設計が、いかに材料に無駄がなく、手間もかからないように考えられていたかがわかるんです。たとえば窓の位置をちょっとずらすだけで、材料に無駄が出るし、余計な手間もかかるんですよね。
崇行さん設計のときに「窓の位置を変更して」とか言わなくてよかった(笑)
伴子さんあと、この家はとてもシンプルな間取りだからいいんですけど、家を複雑な形にすればするほど価格が上がるというのも、自分たちでやってみてわかりました。材料には規格があるから、なるべくそれを生かす設計にするのが大事なんだなーってね。
「断熱材、たくさん入れておいてよかったね」
もうすぐ住み始めて2年ちょっとですね。ご自身で建てた家に住む気分や、住み心地はいかがですか?
伴子さん楽しいよね! 愛着が違うんだろうなあって思います。あと、住み心地は大満足です。何より暖かいのがいいですね。うちはエアコンがないんですが、冬でもリビングにある灯油ストーブ1台で十分です。
崇行さん風の森さんにおすすめされた断熱材がすごくよくて。冬でも晴れた日は朝夕にちょっとストーブをつけるくらいで、日中は暖房なしで十分暖かいですよ。夏は夏で、窓の配置がよくて風が抜けるし、断熱材のおかげですごく涼しい。「断熱材、たくさん入れておいてよかったね」(笑)、みたいな。
風の森あの断熱材、どこでも好評なんですよ。
伴子さん「断熱材はきっちり入れといたほうがいいよ」と言われて、壁にパンパンに詰めてあるんです。隅から隅まで、金尺とか使って押し込んであります(笑)
崇行さん断熱材の仕事は、壁が仕上がっちゃうと表からは見えないですよね。施工業者さんによってはごまかせちゃうところでもあるから……。スカスカで下がっちゃったり、隙間があったり。セルフビルドなら自分たちでやってるから安心感がありますね。
ここに移る前に住んでいたのが神奈川だったんですが、あっちの家は断熱材が入ってないから、冬は死ぬほど寒くて、家の中が0度とかになるんですよ。結露もすごいし。こっちの家の方がずっと暖かくて快適です。この辺りは冬はマイナス10度以下になるけど、家の中は下がっても16度とか。もう、前の家との差がすごすぎて。ぶっちゃけ、家づくりで何がよかったかっていうと、断熱材ですね。実家の家も古いんで、言いたいですよ。「断熱材のワタを入れよう!」って。
断熱ワタの伝道師(笑)
伴子さん原村の風の森さんだから、設計が寒冷地仕様じゃないですかー。もし甲府の工務店さんとかに設計を頼んでいたら、違っていたかもしれない。その意味でも、風の森さんにお願いしてすごくよかったです。風の森さんはこの土地のことをよくわかってくれているから、季節の移り変わりによって冬はどうなる、夏はどうなる、ということをしっかり考えてくれて、日の当たり具合とか、お隣の建物との兼ね合いとかも考慮して、最適な場所や間取りにしてくれました。
連絡した次の日に、もう土地を見にきてくれた
そもそも、おふたりがセルフビルドで家を建てようと考えたきっかけはなんですか?
崇行さん直接のきっかけは妻が妊娠したことですね。前に住んでいた町が、神奈川だったんですけど、ちょっとごみごみしていて……。前から「子どもを育てるなら自然豊かなところがいい」という希望があったし、実家が山梨の甲斐市なんですけど、両親からも「帰ってこないか?」と言われて、引っ越しを考えたんです。
伴子さん実は山梨には以前一度住んだことがあって。でももう少し涼しいところが希望だったので、甲府盆地から長坂、北杜とだんだん物件探しの標高が上がっていったんです。最初は賃貸を探していたんですが、そもそもこのあたりの不動産屋さんには賃貸の物件がなくて……。
「これはもう諦めて中古物件を買うしかないのかなあ」と。でも、中古の別荘とかだと、前の持ち主の方のこだわりが強かったり、その他にも何かと難があったりで、なかなか「これ!」という物件に出合えなかったんです。それでもう、「こうなったら土地を買って建てるしかないんじゃないか」と。それで土地探しを始めて、この土地に出合ったんです。日当たりはいいし、大きい道路からすぐなのに静かで、木に囲まれていて、すごくいいなと思って。
崇行さんでも予算オーバーのこの土地を買って、さらに家を建ててもらうほどのお金は自分たちにはない。「それなら、自分たちでできるところはセルフビルドしてみようか?」と考え始めたんです。
もともとセルフビルドに憧れがあったのではなくて、だんだんとそういう流れになったんですね。
崇行さんはい、だんだんと。そこで初めて「セルフビルド」という発想になりました。
伴子さん実は、私は「自分たちで建てればいいんじゃない?」っていうのを前から言ってたんですが、夫は「すげー大変だよー? イヤだよー」って(笑)。でも「お金もないし、どうするんだ」って。
崇行さん土地が決まってからはすごく早かったんだよね。
伴子さんインターネットで工務店さんを探して、風の森さんのホームページに行きついて。風の森さんの、”伝統的な工法” で、”すべて国産材”というのに、私がすごく惹かれて。でもこんないい家、自分たちには建ててもらうお金がない……。そうしたら、ホームページをよく見たら、小さく”セルフビルド支援”って書いてあって(笑)。この土地を見にきて、確かその日の夜にホームページを見て、連絡をしたらすぐに土谷さんから返信がきて、なんと次の日にはこの土地を見にきてくださったんです!
その日は風の森さんが支援していたセルフビルド中の家と、原村の土谷さんのご自宅まで見せてくださって。どれもすごく素敵で、「本当につくれるんだ!」って感動しちゃって。「セルフビルドを組み合わせると、これでいくらだよ」って価格も教えていただいて、「それならギリギリなんとかなるんじゃない?!」って。
崇行さん土地代と風の森さんの見積もりを合わせて、住宅ローンで予算を絞り出して。それでなんとか建てることができたんです。
ちなみに、中古物件を探し始めてから風の森さんに連絡するまでが2週間くらいだったかな。思い切りがよくて、今思うとそれがすごくよかったよね。この土地も、そのときのタイミングで決めていなかったら、多分売れちゃってたと思うんです。
伴子さん土谷さんも「土地が決まらない人は何年も決まらないんだよ」みたいなお話をされてました。あのときは本当に、ポンポンポンって進んで。工務店さんもいろいろ比較はしてみたんですけど、私はそういうときは”直感”で決めちゃうというか……。この土地に決めたのも、風の森さんに決めたのも、「ここがいい!」と思ったら、早いんです。
「木を移しておきました」
伴子さんあとね、印象的だったことがあって……。風の森さんに頼むことが決まって、基礎の造成のときなんですけど、土谷さんが、基礎のところに生えていた木を何本か、別の場所に移しておいてくれたんです。「このウリハダカエデは紅葉が綺麗だから、こっちに移しておきました」って。入り口にあるコナシっていう白い花が咲くズミの大きい木も、サクラも、みんなそうやって残してくれていて……。それを知って、「風の森さんで本当によかったなあ」と思って。違う工務店さんだったら、作業が下請けの下請けとかになって、事務的に言われた通りのことしかしてくれないんじゃないかなって思うんです。いらない木は全部切って、言われた通りの家を言われた通りに建てておしまい、みたいな。土谷さんは、本当にこの土地に愛着を持ってくれていて……。それが本当に嬉しかったです。
「やっぱり素材がいい!」その土地に馴染むことの大切さ
セルフビルドをしてみて感じた”風の森の魅力”って、他にもありましたか?
伴子さん素材が、やっぱりすごくいいですよね。風の森さんにお願いした理由でもありますけど、国産の無垢材にこだわりを持ってやってらっしゃるんだなっていうのがわかります。うちも、壁の中の間柱まで全部無垢材で、集成材とかは使われていません。
崇行さん大学時代に彫金で伝統工芸みたいなことをしていたので、伝統的な材料の味感とか、素材のよさとかが見えちゃうところがあるんです。壁紙とかサイディングの家だと、どうしても作り物っぽくなりますよね。そういう素材に比べると、風の森さんで提供してくれる材料って、やっぱりすごくよくて。
伴子さん素材がいいと飽きないし、その後の自由度が高いんです。
崇行さん柱もすごくよい木を提供してくれたみたいで、土谷さんが「これはいい木なんです!」って(笑)。外壁も”ウッドロングエコ ”っていう天然由来の保護塗料で塗ってあるんです。普通、外壁ってキシラデコールとかですよね。でもそれだと「塗ったな」みたいな人工感がある。ウッドロングエコ はすごく自然な感じで、人工感がない気がします。
伴子さんこの景色や木が好きで引っ越してきてるから、自分としてもこの土地の景色や在来種を大事にしたいんです。だから家の材料も、”環境との馴染み”っていうのがすごく大切だなと思って。家って、その地域にひとつ建つだけで景色が変わるじゃないですか。だから”その土地に馴染む家”というのを、ちゃんと考えて建てるというのは、すごく大事なことですよね。”自分の家”だけれど、その家が”社会とのつながり”の部分でもあるから。風の森さんのおすすめの素材というのはその土地に合ったものだから、すごくよかったなあと思ってるんです。
家づくりの制限時間、1年間!
伴子さんそれで、土地も決まって、住宅ローンを申請して建て始めたのですが、契約の関係上、ローン開始から1年で家屋調査をしなくちゃいけなくて……。建てた家が担保になるので、「ちゃんとした家です」って資産としての評価ができないといけないんです。 でも8月末に住宅ローンの契約をして、そこから家の設計が始まって、12月に基礎ができて建て方をやって、なんてしているうちに5か月くらいはあっという間に過ぎちゃって。12月末か1月ごろにやっとセルフビルドが始まったときには、もう残り半年。自分たちのつくり始めがいつだったとしても、期限が決まっているので、最後は時間との闘いでした。
崇行さん家屋調査は、担当者によって多少の違いはあるみたいですけど、うちの場合は「石膏ボードは張り終えていないとダメ」って言われて。期日に合わせて徹夜して、石膏ボードをむちゃむちゃ急いで張って。やっと「終わりました!」って電話して、家屋調査にきてもらいました(笑)
伴子さんキッチンも固定してなくて「床に置けばいいよ!」って。なんでも並べるだけ並べて(笑)
崇行さんそんな時間制限もあったし、やっぱり早く引っ越したかったので、本当に全力尽くして頑張って、壁に漆喰を塗って、最後は床に亜麻仁油を塗った後、2日目くらいで引っ越してきました。本当はひと月くらいは乾かした方がいいんですけど、そんなことは言ってられなくて(笑)。引っ越したときは水まわりはできていて、床板も張り終えていたんですが、内装の細かいところはまだでしたね。最後はもう切羽詰まって徹夜したりして、とにかく時間に追われるのが大変でした。住宅ローンがなければ、違ったと思うんですけど。
本当に大変だったんですね。そんなに頑張ったセルフビルド。家をつくるときに何かこだわりとかはあったんですか?
崇行さんうーん。ないですかねー(笑)。強いて言えば、妻のやった洗面所のタイルとか?あとはキッチンをステンレス製にしたくらいかな。僕はそもそもあまりこだわりというか、興味がないので(笑)、割と「何でもいい」って思っちゃう。どういう家にするかを考えるのは妻で、実践するのは自分だったりするんですが、こだわりのある方の思いを尊重したいっていう気持ちがあります。
おおー
おおー! 奥さまのこだわりのためにそんなに頑張れるのが素晴らしいです。
崇行さん自分も妻も仕事がものづくりだから、「いまここをやっとかないと、後で大変になる」っていうのがだいたいわかるんです。「後回しにすると、歪んじゃったり汚れちゃったりで、住み始めてからがかえって大変」ってわかるから、「ここだけはやっとこう」というのがあって。そこにはもう、全力を尽くしましたけど、でも、こだわりって言われると、ないかなー。「とにかくやんなきゃ」みたいな気持ちしかなくて、こだわり、なんて言ってられなくて……。難しい箇所は風の森さんにやってもらえたから技術的には大丈夫だったんですが、時間的にはきつかったです……。もちろんセルフビルドは楽しかったですけど、途中から”卒業制作”みたいでしたもん(笑)
欠かせなかった協力プレー
しかも小さいお子さんがいてのセルフビルドだったんですよね。
崇行さんそもそも、この子の子育てのための引っ越しだったから(笑)
伴子さん娘が生後3ヶ月の頃にちょうど建て方があって、その後1月の寒い時期からセルフビルドが始まったんです。最初は私も一緒にやっていて、断熱材を入れてる頃はまだよかったんですけど。娘もねんねでそんなに動かないから(笑)。でもハイハイから立ち上がるようになると、もう目が離せなくて、途中からはほぼ夫ひとりでやることになっちゃいました。
セルフビルド中は崇行さんのご実家から通われていたんですか?
伴子さんそうです。あと、土谷さんから3坪の小屋をお借りしました。最初は、朝お弁当をつくってみんなでここにきて、娘が小屋で寝てる間に家づくりをして、終わったら帰って、とかしてたんですが、切羽詰まってきてからは夫がひとりで小屋に寝泊まりしてやってましたね。
崇行さん寝泊まりといってもほぼ寝てない。仮眠ですねー。仮眠小屋(笑)。でもあの頃は本当に協力プレーでしたね。
協力プレーといえば、タイルの洗面台とか、室内の家具は伴子さんがつくったものが多いですね。
伴子さんそうですね。内装関係の細かいところは、ほぼ私がやりました。洗面所のタイル貼りも、娘が寝てから真夜中に車でこっちにきて、暗ーい中で貼ったりして(笑)。タイルシートの色の組み合わせがいまいちで、タイルを一度全部バラバラにして貼ったりもしました。そこにある子ども用の机や小さい椅子、棚なんかもつくったんですよ。
すごいです! おふたりは、もともと手を使うお仕事をしていらっしゃいますが、セルフビルドの経験で何か変化はありましたか。
伴子さん能力値は上がった気がします。自信もつきました。
崇行さん何かないものがあったときに、すぐに「つくろう」という気持ちになるし、大工仕事のレベルは上がったかな。家づくりは初めてだったけど、ものづくりっていうのは基本同じなので、大工仕事も教えてもらえればできたし……。まあ、あまりレクチャーらしいレクチャーっていうのはなかったけど(笑)、わからないところはインターネットで動画を見て調べたり。そうやっていろいろと知識を総合して「きっとこうに違いない!」って。でも、人によってやり方が違うみたいで(笑)。実験して、やってみて、ですね。
伴子さんようやくこの家ができて、しばらくはのんびりするんだろうなーと思っていたんです。そうしたら友人から保育園開設の話があって……。実は私は以前、東京でモンテッソーリ教育っていう教育法の勉強をしていたんです。それで「いつか、本格的にモンテッソーリの教材とか家具をつくったり、病気の子どものための仕事なんかもしてみたい」と思っていたんですよね。 最初は友人から「0歳用から6歳用までつくってほしい」と言われたんですけど、全部私の手づくりだし、そのときもう開園まで3ヶ月しかなかったからとても無理で(笑)。それで、まずは0歳用から3歳用までをつくることになりました。2月の寒い時期に、庭の作業台で外作業ですよ。でも、やりたかったことだから、ちょっと頑張ろうかなって。本当はのんびりするつもりだったけど、「Miki Craft」を設立しました。
早いですよね、何でも。決めるのも実行も、本当に早い!
伴子さん土地との出合いも仕事との出合いも、波がきたら乗るしかない! ですよね(笑)。実は、ゆくゆくは機械も入れて木工の量産ができるように、工場用の土地も探しているんです。
セルフビルドの家づくりで、伴子さんの夢や人生が加速したんですね。
伴子さんはい。セルフビルドしたら、夢がちょっと前倒しになりました(笑)。でも「欲張らないで、できることをひとつずつ」って、最近は毎日自分に言い聞かせてます。あれもこれもになると、家づくりもそうだけど、女の人ってどうしても思い入れがありますから。夢はあるけど、それをいっぺんに欲張ろうとしても絶対に無理だし、体はひとつだし、時間もないし、ストレスもたまる。やらなくちゃいけないことは山ほどあるけど、本当は娘との時間が最優先で「土日は娘のための時間」って決めていて。土日はなるべく仕事をしないようにしているんです。どうしてものときは、夫が子育てを頑張ってくれてます! 料理が得意で、ご飯とかもつくってくれて。
崇行さん最近は「土日よろしく!」って言われてます(笑)
アトリエができれば、スピーカー制作がご趣味で金工、木工に留まらない作品作りをされている崇行さんも集中できるし作業がしやすくなりますね。
崇行さんアトリエの方は、僕も建て方から一緒にやっています。昨日で建て方はほぼ終わったので、ここから後はまたセルフビルドになります。アトリエにはウッドデッキもつくって、木工作業を外でできるようにしたいですね。その次は庭のウッドデッキと屋根つきのサンルームですね。景色が見えるように窓もつけて。でもそれは来年かなー(笑)
使える場所がますます広くなりますね。このお庭は日当たりが最高ですし! そういえば窓辺に小さな植物のポットがたくさんありますね。
美味しいガーデン
伴子さん植物を育てるのは私の趣味で(笑)。庭づくりはひとりでやってますね。庭にあるハーブ畑は、娘が植えたり摘んだりして楽しめるように外壁材の残りで手づくりしました。ここに並んでいる小さいポットは、種から育てている八ヶ岳の植物です。環境に合った植物だから、育つのに手間がかからないんですよ。そんな無理のない庭づくりがしたいなと思ってます。私は出身が鎌倉で、谷戸っていう小さな谷間や川の土手とか、自然の中で遊んで育ちました。ここも子育てには最高です。娘もよく花を摘んできて「見てー」って(笑)
伴子さんアトリエの基礎をやるときに、どうしてもそこにあったクヌギを切らなくちゃいけなくて。土谷さんに「シイタケできますか?」って聞いたら「できるよ」って。なのでクヌギにシイタケ菌もつけました(笑)。あと、そのうち庭でミツバチも飼おうって。
やることがいっぱいだ。シイタケが採れて、ハーブも採れて、ハチミツも採れて、いい庭になりますねー。1年後、2年後が楽しみです!
「小さく建てて、大きく育てましょう」
最後に、これからセルフビルドに挑戦したい人や迷っている人にアドバイスがあれば、教えてください。
崇行さんやめたほうがいいよって(笑)。だって大変だもん。
えーーーー。
崇行さんセルフビルドする人は相当、もの好きですよー(笑)。時間制限がなければいいと思うんですけどね。のんびり10年くらいコツコツとなら。
でも、それもなんなのでもうちょっと希望のある話もすると、最初は大工仕事に慣れなくても、やってるうちに慣れて、最後には絶対にできるようになります。もしできなくても、風の森の職人さんがフォローしてくれるし。体力と、あと時間と資金の余裕は、あればあった方がいいですけどね。初めてだから、どうしても予想しているよりは、かかるので。
伴子さん欲張らないことですかね。お家って、どうしても欲張っちゃいますから。一世一代の買い物だから……。でもセルフビルドは、最初は欲張らずにつくったほうがいいのかなーって。最初から大きくつくると、予算的にも厳しいし。それで、欲張らないでまずは一回小さくつくって住んでしまえば、その後は欲張れちゃう。土谷さんが、「小さく建てて、大きく育てましょうねー」っておっしゃってて。なるほどなーって思いました。「家は、住みながら育てていけるから。そういう家にしましょうねー」って。
崇行さんだから、最初はシンプルにつくった方がいいんですよね。その方が後でいじりやすい。壁も白くしとけば、カーテンとかで色をつけても、どんな色でも合いますからね。そんなふうに、住みながら使いやすいように改造できるのが楽しいし、それがもう、自分たちでできる。「ほしいな」というときに、頼まなくていい。
伴子さんいい材料がほしければ風の森さんに頼めるし! 
ありがとうございました!
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